『主に任せたアブラハムと自分で判断したロト』(創世記13章1〜18節) ( 2.11/2011 )
中心聖句「あなたが左に行けばわたしは右に行きます。あなたが右に行けばわたしは左に行きましょう」(9節b)


避難先のエジプトから多くの財産を携えて、アブラハム一族は砂漠地帯のネゲブ地方を北上してカナンに戻ります。途中、天幕をはって牧羊を行いますが、家畜が多い為に最も貴重な水の争いが起こったため、牧羊地での競合を避けるため、甥のロトと別れる事になります。


1.アブラハムとロトの立ち位置

アブラハムはこれまでも神の啓示に従ったのに対し、ロトは叔父アブラハムにすべてを任せていました。つまり、ロトと神の関係は、直接神に対する信頼によって成り立っていたのではありません。これが二人の歩みに次第に大きな差となって現れてきます。『アブラハムはロトに言った。どうか私とあなたとの間、また私と牧者たちとあなたとの間に争いがないようにしてくれ。私たちは親類同士なのだから。全地はあなたの前にあるではないか。私から別れてくれないか。もしあなたが左に行けば、私は右に行こう。もしあなたが右に行けば、私は左に行こう』と、アブラハムは、争いよりも別れる方を選択します。しかし、どこに住むかはロトの決断に委ねたのです。


2.自分を信じてしまったロト

本来なら、ロトは自分を引き立ててくれたアブラハムを尊み、叔父に住む場所を先に選ばせるべきでしたが、アブラハムはその権利を放棄してます。彼はその権利を放棄してまでも、争いがおこって欲しくないと願い、自分の行く道を主に委ねる人だったのです。結局ロトは、主の園の様にどこも潤っていたヨルダンの低地全体を選び取り、東のほうに移動します。ロトは、目に見える豊かさで選び、アブラハムは主の言葉に従おうとしたのです。ロトと別れてから、アブラハムは、シュケムの場、モレの樫の木のところまで来ます。当時、その地にはカナン人がおりました。アブラハムは、「あなたは大いなる国民となる。」という神の約束を信じてカナンの地に来たのに、彼らが来たところはすでにカナン人が住む土地だったのです。もし彼が自分の目で見て選んで来たならば、茫然自失に陥ったでしょう。ところが、そこに主がアブラハムに現れ、『あなたの子孫に、わたしはこの地を与える。』と告げます。主はアブラハムを慰め、希望を与えたのです。


3.信仰の父・アブラハム

アブラハムは主の言葉を信じ、そこに主のための祭壇を築き、信仰の証としました。後年、イエスはエルサレムに登り、神の声に耳を貸さないイスラエルの民を説得しようとしますが、対立する宗教指導者の陰謀に巻き込まれます。逃げる事も可能でしたが、イエスはゲッセマネで神の声に従う事を決断しました。十字架上で処刑された姿は、神を信じた姿であり、神への愛、人への愛の証だったのではないでしょうか。

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