赦されたアビメレク(創世記20章1〜18節) ( 4.21/2011 )
中心聖句「あなたが清い心をもってこのことをしたのを知っていたから」(6節)

創世記20章は、アブラハムの家族がネゲブの地に移住するところから事件が始まります。アブラハムは以前にもエジプトに疎開しております(12章)が、その際、妻サラにアブラハムのを兄であると言ってくれるように頼みます。そしてそのために激しい疫病がパロとその家に下されたのですが、アブラハムは今回も、ゲラルの王アビメレクに身を守るために虚偽を言ってしまい、彼の家のすべての者は胎を閉ざされてしまいました。

この20章と先の12章を照らし合わせて分かりますことは、何も知らないパロとその家の人々とゲラルの王アビメレクの家とすべての者たちが被害者となってしまったこと、そしてアブラハムは彼らからサラのゆえに何かしら祝福を受ける形になっていること、そして神に諭されアブラハムの妻を帰した王たちは赦されたということです。

神がアブラハムと契約を結ばれたことが、彼の周りの人々にとって幸いであったのだろうかと考えますと、どうも祝福とはなっていなかったようです。アブラハムは自分の命を守るために2度も偽りを証言し、その結果、周りの人々の命を脅かしました。神が小さな存在であったアブラハムの生涯に見せられた事は、武勇や篤信だけでなく弱さでした。移住の理由はわかりませんが、もう生きていけなくなったとき(12章)、異文化の中に飲み込まれそうになっている時(11節)、神がアブラハム一家を支えてくださいました。

神はアビメレクにも夢で語りかけてくださり(3節)、事態は変わります。アビメレクはアブラハムの偽証の理由を聞き、必要な生活の糧を与え(14節)、永住できる地を与え(15節)、サラを法的に彼のもとに返しました(16節)。神の方法は人知を越えた方法でした。それは王を騙さなければ生きていけなかったアブラハムと小さな民族を受け入れるゲラルの人々の共生の物語です。

福島第一原発事故を通して様々な苦しみがすでに引き起こされています。これから先も自分の命を守るための行動の波が、ある人々には苦難として及んでいくと思います。神がアビメレクに夢で現れ、アブラハムとサラを守ってくださったように、小さな社会の中でも、神は私たちにも現れて行動を起こしてくださるのです。そして全ての人を守ろうとされています。私たちもそれをしっかりと受け止め、信仰者として行動しましょう。

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